TRPGと世代

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それぞれについて深く遊んでいるわけでないのでやや机上の空論です。

まず、世代というか進化という点で、

第1世代…D&D(物理法則に関する共通認識をシステムで提供)
第2世代…Rune Quest(物理法則と背景設定に関する共通認識をシステムで提供)
第3世代…FEAR系(物理法則と背景設定と物語に関する共通認識をシステムで提供)
第4世代(?)…Aの魔法陣(システムでは共通認識を提供しない)
とありますが、これらのなかには、世代という尺度以上のギャップがあると考えています。「ゲーム」というものを、ある目的を設定してそれを達成することを目標とするものとすると、その「目的」そのものがもはや違うのではないでしょうか?

D&Dとかのゲームであれば、比較的単純(純粋)な目的を設定しそれを、プレイヤーの戦略、戦術によって遂行していくことを目的としていると思います。
ゲームマスターとしては、適切なバランスの目的を設定しプレイヤーの戦略・戦術を最大限引き出すのが目的、かな。

第1世代に対して、第2世代的なシステムもまた彩りとしての要素が増えていても芯となる部分は共通だと思います。
ルーンクエストなどは、それに物語・世界的な要素で深みを持たせていますが、目的は変化していないと思います。
行動理念などに世界背景などが絡むことで単純なルールだけではなく社会的な制約がキャラクターに与えられたものかなと

ところで、第3,第4世代といわれるものは、上述の第1、第2世代のような目的遂行型TRPGといえるのでしょうか?
もちろん目的遂行型TRPGとしてプレイされる場合もあると考えますが、そういった感覚でプレイした場合、それに特化された旧世代システムに比べて物足りなさとか違和感などが生じるんではないかなと思います。
第3世代のものはFEAR系しか知りませんが、旧世代に物語を追加したものではなく、逆に物語が主眼であり、旧世代の要素をフレーバーとして入れたものと考えています。
これは旧世代のゲームに似せるため、遊びやすくするためのもので、物語のゲーム性の要素が十分であれば、旧世代の要素がなくても成立つものであると考えます。物語の要素と、目的遂行型の要素は直線上のベクトルに立つものではなく直交成分ではないかなと。
究極的には、これら直交成分のどちらをも満足させるシステムを作ることは理論上可能だと思っていますが、今はそういったシステムはないかなと。

物語のゲーム性についてですがまだ確固たるイメージ(言葉)が出て来ないんですよね……ただ、物語のゲームにおいては旧世代スタイルの「ゲームマスター」はおそらく機能しないのではないかと思います。共通認識の世界が誰かの世界であってはいけないかなと思ってます。誰かの世界に堕ちた瞬間ただのごっこ遊びではないのかなと。

旧世代システムは自然科学をベースとした抽象化がなされており直感的に状況を理解できるけど、物語の方はやや哲学的(認知や認識など)なものをベースにした抽象化なので、前提として全員が同じ認識に立っていないとゲームにすらならないと思います。
さらに言えば、この哲学的要素って多くの人が楽しさを見いださない領域だと思うんですよね。かといって標準的な共通認識を明文化してしまうとそれは旧世代のゲームデザインをすることに等しいのじゃないかなと。
なので、物語のゲームが同じメンツでくり返し遊ばれていると、物語的要素はひとつの認識に収束して、ひとつの旧世代システムが出来上るのではないかなと。

最後に補足になりますが、文脈の流れから1,2世代を旧世代、3,4世代を新世代と書いている部分がありますが、これらは進化のベクトル上の新旧の関係にあるものではないと考えています。
なので旧世代の延長として新世代を捉えても劣化したTRPGにしか感じないだろうし新世代から旧世代を捉えても、古くさいTRPGとしか感じないのではないかなと。

まあ、ここまで書いてこう言うのはどうかとは思うけど、自分が面白いと思うものを遊べば良いんじゃないかなぁ。

 

2 Comments

世代によって説明するというのは,単純化して大きな流れを説明するための方便ですので,その文脈の中で各々が定義すればいいかと思っていますので,深入りしません。

第3世代,第4世代とここで呼んでいるRPGと物語の関係に対する認識はおおむね一緒です。


>物語のゲームが同じメンツでくり返し遊ばれていると、
>物語的要素はひとつの認識に収束して、ひとつの旧世代
>システムが出来上るのではないかなと。

最初に持った素朴な直観は一緒です。その場合,果たして第1,2,3世代のRPGと渡り合えるものになるのか? というのが同時に抱いた疑問です。
頭で考えると答えはNoなんですが,さてどうでしょうか。

とりあえず、Aのルールブックは買ってみたので明日ぐらいに来るはず。読み物として呼んでみようかなと。

物語は現存するシステムではゲームとして成立させるための条件が厳しいんじゃないかなと感じます。暗黙の合意(いわゆるお約束など)が恣意的にならないようにするような合意を形成するためには参加者全員に並々ならぬ努力と技量がいるような気がします。

既存のRPGを越えようとか渡り合おうと目指す限り、その山は越えられないと思います。それなりに成熟した高い山がそびえていますから
、ここは、思い切って別の高みを目指すならそれなりのものになるんじゃないかなぁ

その場合、最大の問題は、「それって楽しいの?」の答えですよね。
方向転換を強いてまでの楽しさをアピールできる要素って何だろう……

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This page contains a single entry by mutsumi published on 2006年5月14日 19:08.

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